混乱期 体験談④

“がん”をきっかけに申請した介護保険制度

母:64歳 父:70歳
長男:37歳 独身 一人っ子 東京在住 会社員

ある日突然、母親が倒れ、肺がんの余命3ヶ月の宣告を受けました。

肺がんの詳しい病名が判明するまでに、その余命の3ヶ月間を費やしてしまい、私はその間、いつ死んでしまうのかと毎日生きた心地がしませんでした。

2か所の大学病院とがん専門の病院の計3か所の病院でがんの組織を採取する検査をしました。

ですが、がんの組織は採取出来ず、最終的に肺がんの中の腺がんであろうと診断され、女性と言うことと症状から抗がん剤での治療が始まりました。

幸いなことに、その抗がん剤自体が功を奏し、肺のがんは1週間で影が薄くなり、その後はCTにも映らなくなるくらいに消えていきました。

当時は余命3ヶ月の告知を受けた後だったので、こんな事があるのか、と思い、がんが完治すると家族皆で喜びました。

ですが、倒れた原因はがんの脳転移だったので、完治するわけではありませんでした。そのため、抗がん剤の後に、脳の外科手術を受ける事になりました。

医師からは、がんは1つではないので、全てを取り除く事は不可能という説明を受けていました。そして手術後、母は言葉を失いました。

前日まで当たり前に話す事が出来ていたのに、それが出来なくなった衝撃は私にも大きく、母自身も伝える事が出来なくなったためか、全てを諦めてしまったように見えました。

伝える事が出来ないことで一番ストレスだったのは、排便の際であったと思います。そのため排便はオムツになりました。

声は出せない状態でしたが、最初は首を振って嫌という意思を伝えていました。ですが、それも段々と伝える気力が無くなっていき、諦めきった表情になっていきました。

私はこれ以上、母が今まで当たり前に出来ていた事が出来なくなっていくことへの不安を想いました。また、母の気持ちを考えるとどうするべきなのかがわからなくなり、私自身も不安でなりませんでした。

それから、入院先が急性期病院である為、長期間の入院が出来ず、転院するように伝えられました。その後、病院の相談員の方に相談し、ホスピス、介護療養型施設、老人保健施設などを紹介され、それと合わせて、介護保険制度も申請が可能と言うことを教えてもらい、申請を行いました。

認定調査を実施する際には病院まで認定員が来てくました。 その後に、認定結果を要介護5と認定され、老人保健施設に入ることが出来ました。


介護保険制度は基本的には65歳以上から適用となりますが、今回のように40歳以上65歳未満でも“特定疾病“に該当する病気であれば、介護保険制度が適用になります。
ただし、相談員の方が案内をしてくれる場合もあれば、無い場合もあります。

介護保険制度は、申請が基本のため、事前に“特定疾病”の病気の種類を確認しておく必要があります。
事前に確認し、該当する場合は速やかに申請しましょう。