混乱期 体験談②

交通事故により理解した両親の認知症

母:75歳 父:80歳 地方在住
長男:50歳 既婚 子供2人 東京在住
長女:45歳 既婚 東京在住 子供1一人
夫両親同居介護中

両親は、地方の実家で二人暮らしをしていました。

年に1回、正月に帰省し、両親の様子を見ながら結婚後20年間、つかず離れずの親子関係を続けていました。

1年に1度会う時の両親は、毎年少しずつ足腰が痛いとは言っていても、見た目にはとても元気そうに見えていたので、特に心配する事もありませんでした。

3年ほど前から、帰省の際に父親に「少し母さんの様子がおかしいぞ。何回も同じ事を繰り返し話している。」と耳打ちして来られ、その頃母親も電話で「お父さんの様子がこの所おかしい。自治会の定例会を忘れ、トラブルが起きている。」と長男の私に度々相談をしてきていました。

遠距離だったので、そんな状況を心配しながらも、年に1度しか帰省していませんでした。

両親共に目の前にしても何ら変わった様子はなく、母親は私に何度も同じ話をするわけではなく、父親も私が話す内容を忘れる事もなく私との会話も成り立っていました。

しかし昨年になり、母親から電話で父親が交通事故に遭い入院した、と連絡がありました。急いで実家に戻り、父親の様子を見ると、大腿骨の骨折をしており、しばらく入院をする事になりました。

入院したことがきっかけで、父親の精神状態は不安定となりました。そこで、病院のソーシャルワーカーの紹介で、介護保険制度を申請し、認定を受けたところ、認定結果は要介護3でした。

父親は入院生活をしていると、以前に母親が言っていた通り、父親の時間の認識や記憶の曖昧さを目の当たりする事になり、父親の状況が悪化している事を私自身も理解できました。

父親が入院し、要介護3と認定されたことで、母親はとてもしっかりとしていた様に見え、母親はまだ大丈夫だと安心していました。

その後入院生活が終わり、リハビリ施設に転院した頃から、今度は母親の様子が変わり始めました。

一人で父親のリハビリ施設に通ったときに、行くまでの道筋が解らないと私に電話をしてきました。

そんな状況を父親のケアマネージャーに相談をしてみると、母親にも介護認定を受けるようにと勧められました。母親と一緒に病院へ検査に行くと、アルツハイマー型認知症と診断をされ、その後の認定結果は要介護1でした。

今では、父親は老人保健施設に預け、母親はデイサービスに週3日通い、毎月、妹と交代で帰省しながら在宅を続けていますが、これから先、今の生活が続けられるのか、とても心配です。 また、両親からの状態の変化を告げられた時に、行動を起こすべきであったのかと、少し後悔もしています。


あっぷくんのコメント

介護における後悔は、誰もが経験をしています。正しい介護が、特にあるわけではありません。

ですので、親子でその答えを見つけて行くしかないのが、親の介護です。

自身の介護を責める事は、介護される側にとっても良い影響をあたえません。

両親を同時に介護する状況は受け入れがたいと思います。

介護保険制度をうまく使い、専門職と連携しながら、介護する側も良い状態で行う必要があります。

今回は、入院をきっかけに介護保険制度とケアマネージャーに繋がる事が出来ました。

介護をする人達の多くが認識違いするのは、ケアマネージャーが最初から最後まで寄り添って伴走をしてくれる人と考えていることです。しかし、ケアマネージャーは、要介護1の介護区分から支援を開始する専門職で、要支援1、2の場合では支援を受けられません。その場合の相談窓口は、地域包括支援センターとなりますが、基本的には在宅時のみとなります。

また、施設や入院時の支援相談は入所先が窓口となり、相談員又はソーシャルワーカーと言われる方が支援してくれます。 施設や入院時には、在宅時のケアマネージャーがそこで引継ぎを行います。